大阪の路面電車とドヤ街の激安宿

八兵衛

2023年03月02日 08:04




大阪市南部には今も僅かですが路面電車が走ってます。
阪堺電気軌道という鉄道会社です。
そんな路面電車に乗ってきました!

たびたび書いてますが僕は元鉄です。
(「もともと鉄道オタク」の意)
大阪市の南部と堺市を結ぶ阪堺電車は
半分ほどは路面電車で半分ほどは専用軌道になっており、
そんな古い下町と再開発の進む天王寺を走る
1両か2両のチンチン電車です。
今では発車の際も「チンチン!」と音がしないことが多くなったので
あまり「チンチン電車」とは言わなくなりましたが、
オッサンの中では今でも「チンチン電車」なのです。


あべの筋を走る阪堺電車


そんな天王寺駅前の「あべの筋」という
大阪市内を南北に通る大通りの真ん中に
始発駅である「天王寺駅前駅」。
ここで一日乗車券を購入。600円也。
通常の乗車券は全区間乗車でも一駅乗車だけでも一律230円なので
3回乗ればモトが取れるお得乗車券。

まあ、阪堺電車乗車の話なんてネットに大量に出回ってるので
僕がわざわざ書くほどのネタもありません。
よって、ほぼスルーしますw








松虫駅前のバー


乗り放題切符なのをいいことに途中下車を繰り返し、
下町の路地裏を歩いてみたり、
神社にお参りをしたり。

とはいえ一日で沿線全部を途中下車して巡るには
少々時間が足りないので今回は北半分だけの乗車です。
関西の初詣では毎年ニュースになる住吉大社を南端として、
これより南、浜寺公園駅方面へは今回は探訪せず。
でもまあ、住吉大社にはお参りしときましょう。













参拝を終え、2駅だけ戻って神ノ木駅下車。
特に目的も無く、なんとなく下車。
「ぶらり途中下車の旅」だと、
こういった「なんとなく下車」が楽しい。
ここから徒歩で、もう一本の路線の東粉浜駅に向かう。



道中、閻魔堂地蔵尊という怖そうな名称のお堂の前を通る。
見学してみたいけど、
お堂の中では近所のおばさま方が井戸端会議中。
覗き込む僕を超怪訝な表情で見られたので写真も撮れず
通りすがりに見学するような雰囲気ではなさそうなので、
残念ながらスルー(泣)


神ノ木駅付近








東粉浜駅に到着し、時刻表を見ると電車の本数が少ない。
約30分に一本程度のようですな。
さきほど乗ってきた上町線は大体10分に一本は走ってるし乗客数も多かった。
こちらの方が「本線」なのに実質は支線扱いのような?
おそらく現在は、枝線の北の始発・天王寺が栄えるようになって
乗客はそちらに移り、
本線のこちら側が枝線状態になってしまったんだろうか。










ところで電車に乗るのは楽しいな^^
途中下車して散歩するのも楽しいけど
乗ってるだけで楽しく、途中下車するのが名残惜しく、
途中、天神ノ森駅で下車して
「天神ノ森天満宮」を探訪しただけであとは路面電車に乗り続け、
今夜泊まる予定の新今宮駅に到着。





新今宮駅周辺。
ここはかつてのドヤ街。

現在では海外からのバックパッカーも増え、
随分と安心安全な雰囲気になりましたが、
かつては暴動と火炎瓶の町だったのをご存じでしょうか。
通称「あいりん地区」と呼ばれ、
失業者や日雇い労働者の集まる地区として全国から人が集まり、
数十年前には頻繁に暴動が発生してニュースで報道されてました。
1992年には第23次の西成暴動が発生、
当時就職一年目の僕は現場付近で仕事があり、
現地を通ると路面があちこち黒焦げになってたものでした。
ネットで調べると2008年にもちょっとした暴動があったみたいですな。
ここら辺はかつて「ドヤ街」と呼ばれ、
劣悪で激安の宿泊施設やアパートなどが林立。
大阪での西成、東京での山谷なんかが代表的なドヤ街でしょうか。
(ちなみに「西成区」は広いので治安の悪い地区もあれば、
 高級住宅街もあるので「西成=劣悪」では決してありませんよ!)

そんな西成区の新今宮駅~動物園前駅付近、
僕は今から11~12年ほど前、
以前にも少し書きましたが
ヤサぐれて心が真っ暗ケだった時期がありまして、
その一時期、ここの安宿街の宿に長期滞在してた時期がありました。
ここの安宿に1年余りの間、ほぼ毎日のように泊まり
治安の悪い界隈を徘徊してました。

路上にはヨッパライのオッサンが寝そべって
ワンカップを飲んだりしてたし、
宿にはヤバそうな人が当たり前のようにたくさん居り、
また怪しげな訳アリふう外国人パックパッカーもたくさん居り、
クセの強い、歯の抜けたオッサンがダミ声で酒飲みながら喋る、
そんな雰囲気が当時のヤサぐれてた僕には居心地良かったもので、
当時一泊1500円~2000円程度でテレビやエアコン完備だし、
もっと安い宿なら一泊1000円未満の物件もあったので
「ドヤ街」といっても僕の滞在してた付近は
この界隈の中では割と上級クラスで、
当時勤めてた会社を辞めて、アパートも引き払って
そのまま日雇い仕事を探して本格的にドヤの住人になるのも悪くないな、
と、わりと本気で考えたりしてたものでした。


今でも一泊1000円台前半の宿が多く残ってました


今でも裏通りには荒廃&殺風景な場所も一部残ってました


商店街には異常なほど「カラオケ居酒屋」が多く、またどこも繁盛している


どう見てもパチンコ屋にしか見えない大阪名物の超激安スーパー
でも10年前よりかなり値上がりしてた・・・



僕にとっては人生の停滞時期の象徴みたいな界隈ですが
当時があったから今、心のエンジンが再始動してる僕があるわけだし、
当時の嫌な記憶を払拭して、楽しい思い出に塗り替えたい!
との思いが今はありまして、日帰りで行ける場所なのに
あえてかつてのドヤに宿泊しよう、と意気込んでました。

が。

当時宿泊してた界隈の安宿はすっかり高級路線になってしまい、
金持ち系外国人やリッチな学生向けに衣替えをしたようで
当時2000円未満で泊まれた宿は一泊4000~6000円ほどに値上がりし、
しかも軒並み満室!
ネット予約も電話予約も全て断られ、
やむなく10年前は僕でも近寄るのが怖かった
釜ヶ崎地区の宿に決めました。
「釜ヶ崎」という地名は今は消滅し、
現在では萩之茶屋という町名になってますが、
何軒か電話をかけてみるも、
多くは予約が出来ない宿で、
当日、直接フロントに行って現金を払った時点で宿泊確定、という宿。

だからこの日、飛び込みで宿に行ってみたところ、
あっけなく宿泊決定で、
土足厳禁だけど靴は盗まれるから部屋に持ち込むように、との指示。
ああ!こういう感じは当時と変わってないな!(^▽^)
と、ちょっと嬉しくなってしまった。
でも他の宿泊者は10年前のような不穏な雰囲気はなく、
普通のおじさんや兄さんが殆どで、
すっかり治安は良くなってるように見えました。

一泊1300円。
3畳の部屋にテレビやエアコン、さらにwifiまで飛んでいる。
共同風呂もあって非常に快適。
ただしタバコ臭い。隣の部屋の物音やスリッパの音が筒抜け。
オッサン1人が滞在するにはこれで充分。


僕の泊まった部屋


10年前に感じた不穏な雰囲気は無くなっており、
近隣の道路を歩いてみても、
若い人や旅行者が普通に歩いている地区になってました。
10年前は廃墟になった建物も多く荒廃した雰囲気で
部外者がうっかり道路を歩いて通るだけでも
地元民から異物を見るような目線をあちこちで浴び、
ヤサぐれてた当時の僕でも
興味半分で訪れたらダメな場所だ、と感じたものでした。






さて、宿の部屋で午前中から缶ビールを飲んで堕落!
ヒャッハー!楽しいな♪

余分な荷物を部屋に置いて昼過ぎに宿を出て、
観光名所の「新世界」に行ってみる。
通天閣やビリケンさんや串カツ屋の界隈ね。

ところがこれで人混みにヤラれてしまい、一気に僕のパワーが低下。
すぐに宿に戻って再び休憩。
・・・しまった。
僕はオッサンになってから人混みが極端に苦手になったのを忘れてた。


大阪のおばちゃん御用達、ヒョウ柄の衣料




明るい闇市て!


有名な新世界といえど、ちょっと離れるとシャッター街・・・




宿で休憩して夕方、再び外出。

懐かしい「はんぶんや」
これはパチンコ屋です。
普通、パチンコは1玉4円で玉を借りて、
換金時は店によるけど0.9掛けの3.6円とかで換金してくれるのね。
でもそれではお金がかかりすぎるので半額の2円で玉を貸してもらえる店、
ってことで「はんぶんや」という店名らしい。
現在ではもっと安価な1円貸や0.5円貸も普通にあるけど、
当時はまだ2円貸が少なかったんじゃないかな。
ヤサぐれてた11~12年前はたまにパチンコを打ってまして、
この店でも何度か打ちました。(ほぼ勝てない)

なんせ生活保護受給者の多い界隈なので、
保護費が二ヶ月に一回支給されるとパチ屋に一目散!な人も多く、
それを狙ってパチンコ屋は当時も何軒かあったし、
今回行ってみたら超大手のマルハンも進出してました。
斜陽産業のはずのパチ業界だけど、
この地区はまだ絞り取れる!との業界の判断なんだろうかね。










新世界の中の、人の少ない界隈の屋台で飲む。
ハイボール・焼酎・出汁巻き。900円也。
若いお姉ちゃんが一人で切り盛りしてる、
かわいい感じの屋台。

ちょっと物足りないのでもう一軒。
宿の近くのカウンターのみの店。
意外に混雑。若い人も多い。
あとでクチコミを読んだらなかなかの人気店らしい。
1席だけ空きがあり、サバの煮付けをアテにビールと芋焼酎お湯割り。
たしか1100円也。
両隣が同年代のオジサンだったので3人でポツリポツリ話しながら飲む。













宿には夜8時前に帰還。
楽しかったけど人混みにヤラれて以降、
あまりテンションが上がらなくなったので早々に就寝。





休日を丸1日都会で過ごしたのは久々で、
慣れないせいか疲労しました。
都会は楽しかったけど、
人混みが苦手な僕が都会で楽しく遊ぶなら
仕事の帰り道や、アウトドア活動の帰り道に
ちょっと都会に寄り道、というぐらいがちょうどいいのかも?
もちろん都会の中でも人の少ない場所や
意外に自然豊かな公園とか屋上庭園とかもあるのですが。

そんなわけで翌朝、早朝の電車に乗って早々に帰宅!















かつて長期滞在したディープな界隈はかなり変貌していて
全体的には垢抜けて明るい雰囲気になっていました。
ネガティブで無気力だった当時の自分との決別と、
再出発の意味も込めて今回、探訪してきました!


そんな鉄オタ&ディープ下町報告でした^^


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