琵琶湖のほとり。
パックラフトと折りたたみ自転車で水郷巡りしてきました。
琵琶湖東岸、近江八幡市郊外。
ここの桜の季節の水郷巡りは
関西や中京圏のカヌーイストの間ではかなり有名なようで
僕も一度は行ってみたかったのです。
今回はバイクラフティングです。
バイク(自転車)とラフト(ゴムボートやパックラフト)
の組み合わせ。
今年の正月にバイクラフティングを初めて挑戦してみたけど、
あの時は激安の2人用ゴムボートでした。
パックラフトに自転車を積載するのは今回が初めてです。
午前6時半、出艇しやすい某場所に到着。
ちょうどモンベルの折りたたみカヤックを組み立てている男性が居られ、
聞けば名古屋方面からの来訪だそうで
今日は7~8人での花見カヌーツーリングで
このすぐあとに次々とお仲間が到着。
みなさんのフネも様々で、
最初にお会いした方は折りたたみカヤック、
(アリュート430でした)
次に到着のリーダーの方は年季の入った細長い高速艇(ラダー付き)
その次はSUPの若いお兄さん。
その後はカナディアンカヌーの方も到着。
初対面だけどカヌー談義が始まると皆さん止まらない♪
長く30年来憧れた「カヌーの世界」に
やっと僕も入れたんだ、と感慨深かったです。
折りたたみ自転車を船首に括りつけ、7時半出艇。
おそらく日本唯一のパックラフトブランド、グリフォンラフトの「ストレウス」です↑
前回のナラヨシと違って今回は止水域なので
あたりまえだけど漕ぎ続けないと進まない。
葦原の中の迷路のような水路を漕ぐ。
今はスマホで現在位置がすぐにわかるけど
以前は葦原の迷路で迷子になって
出てこれなくなる人が続出だったそうです。
この日は葦が刈られて短くなっており視界良好。
すでに野焼きも行われたようで、
これだけ視界良好だと、
たとえ迷子になっても直ぐに軌道修正できる。
贅沢を言うならホントは
背の高い葦の迷路の中の密林感を味わってみたかったんだけどな。
好天なら良かったんだけど、早朝は雨が降り
出艇時は重い曇天。
予報だと「晴れ時々曇り」なんだがね。
野焼き跡
葦原の迷路の中にある神社。数少ない目印。
水路際には菜の花や桜が咲き、
畦では農作業のご夫婦が花に目もくれず黙々と作業中。
今どき珍しいセーラー服の女子高生?が桜の木の下で
家族と写真を撮っている。
高校入学前に届いたばかりの制服を着ての記念写真だろうか。
家族の記念写真というのは、
ふざける子がいたり、ちょっと緊張気味の人がいたり、
全部ひっくるめて貴重な記録になりますね。
年齢とともに、知らない人の家族写真であっても
最近はウルッとなっちゃいます。
地元のおっちゃんがフナ釣り。
水路幅10m未満の狭い場所なので
釣り師の前を通過する際にはひと声かける。
「すみません、前を通ります!」
もう少し漕ぐと、バスボートの若い釣り師。
「釣れますか?」
「全然ですわ~」
船首に自転車を積んで漕いでると
行く先々で驚かれ
「そんな方法があったのか!」と感心されるので
ちょっと気分がいい。
橋の下を通過すると漁具が干してある。↑
ぶら下げられてる竹筒はうなぎ獲り用?
水路沿いには作業小屋も多くあり、
民家の裏庭は水路に面しており、
ゴミもなく手入れされていて、
住民の生活が、川や水路と馴染んでいる。
これ、何気に凄いことだと思うのです。
他の川で釣りをしててたびたび見かけるのが
川っぺりの住宅の裏庭やベランダから
川原にゴミが投げ捨てられてることなのです。
地元の人の生活の意識が川側に向いておらず、
玄関のある道路側を向いているのでしょう。
ほとんどの地元住人も観光客も、
移動するルートはたいてい道路だから
もちろん道路側に意識が向くのは当然なのでしょうが、
いくら道路側をきれいにしてても
釣り師やカヌーでの「川からの目線」で見ると
「表面だけ取り繕ってる感」の汚い部分が丸見えなのです。
明治以降、道路と車が普及したので
現代では道路沿いに民家や産業・商業施設があり、
それらの玄関も道路側に設置されてるけど、
かつて多くの川は船運の重要な交通路だったから、
「表玄関」とは川側である地域も多かったはず。
日本中で道路側が表玄関になったのなんて
おそらくここ100年程度のことじゃないかな。
まだ早朝なので観光船は動いていないけど、
まもなく始業。
桜満開の土曜日。
きっと今日は観光客で混雑するんだろうね。
水路帯を抜けて長命寺川に出た。
川幅約100mほどの長命寺川は釣り人がビッシリ並んでいる。
狭い水路ではあまり風は吹いてなかったけど、
広い長命寺川では風が強く、
パドルを動かしていないとすぐに岸辺に流される。
釣り師が林立する川でボートが岸辺に流されたら
やっぱり申し訳ないのでマジメにパドリング。
ハラ減ってたのでタコヤキ食いたかったです。
コンクリート護岸の岸辺は水深が深く僕のボートでは上陸できず(泣)
学生のボート部、レガッタというヤツだろうか、
2人艇や4人艇のボートが次々やってくる。
彼らの艇は後ろ向きに高速で進むので
ぶつからないよう早いうちに避けておく。
1時間あまり漕ぎ続けて河口。琵琶湖です。
視界が一気に広がった。
写真では伝わらないですが波の荒い河口部。このあと防波堤の向こう側で怖いことに(泣)
ところが琵琶湖に出たら一気に強風!
水面がグチャグチャに波立ち、船体がグラつく。
フネの航行では雨よりも風や波が怖い。
ましてド素人なのに僕のフネには自転車が積んであり、
重心が高い位置にあるので転覆しやすいのです。
たかが湖と侮るなかれ、これほぼ海やん!
以前、回顧録の記事でも書きましたが
1995年にユーコン川をカヤックで下ったとき、
途中の大きな湖で強風の三角波に翻弄されて
怖い思いをしたことがあったものだけど
今回はそれ以上に危険な感じがする。
(ユーコンと違って水温は高いのでその点は安心。
転覆したら自転車が湖底に沈むのです。)
今回の計画はこのまま琵琶湖岸を北上して
約5km北にある国民休暇村のキャンプ場に
湖側から上陸して泊まる予定で予約も取っていました。
しかしこの強風ではキャンプ場までパックラフト航行はムリか!?
風は南風でスマホで天気サイトを見ると風力5。
風力5といえば普段のキャンプでも焚火を諦める風です。
このあと夜まで強風が続く予報。
目的地のキャンプ場は北方約5kmにあるので
波さえ凌げるなら追い風に乗って高速航行が可能なのです。
いつかはシーカヤックをやりたい僕にとって
ほぼ海みたいな今日の琵琶湖は、
模擬的に海を体験できる機会ではないかと思い、航行を続行。
ここから北の湖岸は崖や岩場が続き、
ボートで上陸可能な場所はほとんど無さそうだけど、
1km北の湖岸にレストランがあり、
その庭が唯一の小さな浜になっているので
どうしても航行続行が困難であれば、
そのレストランの浜に着岸させてもらおう、との判断です。
河口に長命寺港の防波堤があり、
意を決してその防波堤の外側に出る。
すると途端に波も風もさらに強烈!
高波に船体が突き上げられ、
一瞬浮いた船首に左側からの強い南風がぶつかると
あっという間にバランスを崩し、右側へ転倒しかかる。
とっさにパドルで右側の水面を強く叩く。
危なかった。グラついたバランスを元に戻せた。
パックラフトは超軽量なので風には極端に弱いのです。
あかん、この天候ではとても琵琶湖上をツーリングなんてムリだ。
長命寺港へ避難。
長命寺港
この港は観光船の発着と地元漁船の船着場、
あとクルーザーやヨットの係留港でもあるようです。
「港」というのは漁協の船や契約船など、
権利とお金が絡んでるので
僕のような個人のプレジャーボートが
勝手に出艇や着岸などに使ってはいけないのが原則だそうです。
しかし南風が強すぎて勝手に岸辺まで流された。
桟橋の張り紙によると
「ここは公共の船着場です。
長時間の係留や滞在はご遠慮ください」
とのこと。
だったら着岸しても大丈夫だな。
まあダメだといわれても「緊急避難」ということで
認めてもらわねば困る。
上陸して荷物を片付けてると
二人乗りのバスボートが僕と同じところに着岸。
彼らもやはり強風に流されてしまい、
出艇した南の浜に戻りたいけど
強い南風に逆らっては全く漕げなかったそうです。
ここでパックラフト航行は中止。
天気予報では夜まで強風、明日は夜明けから雨。
明日はキャンプ場から自転車で走って車まで戻る計画だったけど
これじゃあ明日は雨の自転車走行になるし、
今夜は強風だから焚火もできなさそう。
なんかあまり楽しそうじゃないなぁ・・・
迷ったけどキャンプ場にキャンセルの連絡をしました。
キャンプは中止。日帰りに変更しました。
ここから自転車で、車まで戻りながらツーリングを楽しもう。
早朝にパックラフトで漕いだ水路を、
今度は橋の上を自転車で跨ぐ。
同じ場所で水面からの眺めと、道路からの眺め。
琵琶湖岸ではあんなに強風だったのに、
内陸に入るとあまり風を感じない。
水路では観光船が始動し始めており、
個人カヌーやツアー会社のカヌーも多く見かける。
陸上ではサイクリングの人もチラホラ。
晴れてれば最高だったけど、
まあこれは仕方ないね。
停めておいたハスラーに帰還。午前11時半。
スタートしてからちょうど4時間。
4時間と思えないぐらい濃い内容でした。
ところでキャンセルしたキャンプ場に
キャンセル料を支払いに行きます。
直接支払いの方が振込手数料が節約出来るからだけど、
やはり今回の中止した計画はリベンジしたいので
キャンプ場や国民休暇村の下見を兼ねて。
当日キャンセルなのでソロ料金2200円の50%、
1100円を支払う。
ここみたいな有料キャンプ場にいかなくても
琵琶湖岸にはキャンプ可能な公園がいくつかあるのですが、
残念ながら近江八幡市周辺にはキャンプOKの公園はありませんでした。
もちろん車を使えば少々遠くてもすぐに行けますが、
これはまあ個人的なこだわりでして、
ツーリングの時の行動中は車から離れて、
出来るだけ人力移動や公共交通機関のみでツーリングしたいんですよ(^^;
「パックラフト・折り畳み自転車・徒歩」
この三つを使い分けて、例えば今回だと、
往路はパックラフト、復路は折り畳み自転車で
行きと帰りでルートや移動手段を変えれば
同じような場所でも違った発見や出会いがあるかもしれない、
との期待でもありますし、
それとやはり若い頃からの「冒険的人力移動旅」への憧れが
今も僕の中にくすぶってるんでしょうなぁ。オッサンなのに。
(そう言いつつ小型オートバイにも興味津々ですが)
こういった人力移動旅にキャンプと釣りが合体して、
そしてキャンプ時に焚火とビールがあれば
人生はほぼ満たされるのです。
さて、悪天候で途中断念となったので時刻はまだ昼過ぎ。
近江八幡市内で観光&昼食でも・・・と
市街地に入りかけたところで観光客の多さと、
市内駐車場の「混雑中」の表示を見て、これも断念。
空腹を抱えながら下道を走って帰宅しましたとさ。
※※※
今回は強風で途中断念だったけど、
あの波と風の怖さを経験できたのは良かったと思います!
もちろん今でも怖さや悔しさが心に入り乱れつつ、だけど
「あれを克服したい!」とのワクワク感もある。
いつかあの波を越えて航行してやるからな!
(とはいえ、そもそもあんな強風の日に
海や湖で素人がカヤックとかやっちゃダメです)
あ~楽しかった!^^