特にアウトドアでもなく、
特にどうという事もない、
とある春の雨の日の話。







急に空いた春の日曜だったので、
アウトドアの準備をしておらず、しかも終日の雨予報。
だからアウトドアはやらないけど、
でもとりあえず温泉にでも行って、
できれば少しでもウォーキングなどしてみて
春の写真でも撮れないかな・・・と適当に車を走らせてみた。

あっちの公園がいい？
それともこっちの河川敷？
・・・でもやっぱり雨だと何も出来ないね。

一旦あきらめて公園の駐車場に車を停めようか。
雨が止むまでしばらく車内で待つとしようかね。






遠く、ほぼ満開の桜の木々が雨に煙って見える。
傘をさした近隣住民と思しき数人が花を見ながら歩いているのを
雨宿りの車内からぼんやり眺める。
フロントガラスを一定のリズムで動くワイパーの音。
しっとり落ち着いた、でもけだるい雨の日曜の午後。

車内から見る雨の日のワイパーの動きと音は、
子供の頃、父に連れてもらった魚釣りの帰り道の記憶。
早起きした釣りの帰り道、子供だった僕は疲れて助手席で寝てしまってね、
しばらくしてうっすら目が覚めるとどこかの交差点で信号待ち。
ワイパーが動いているから、雨が降り出してたんだろうね。






あのワイパーの一定の動きと音というのは
雨音とあいまって、
きっと催眠術的な効果があるんじゃないかな。
少年時代の夢うつつの記憶に刷り込まれた
あのワイパーの一定の動きと音は、
今でも僕にとって雨の日曜のけだるい午後の記憶。

そのせいか今でも雨の日に車内からワイパーをぼんやり眺めながら
幼い頃の記憶に浸ってみることがあったりしてね。
この日も何となく無駄にワイパーを動かしてみたりね。












結局、夕方になっても雨は上がらず、
かといって温泉以外、終日何もせずに帰宅するのはちょっと悔しい。
むりやりだけど傘をさして
しばらく山里を歩いてみた。


そんなアウトドアでも何でもない
春の週末、何をするでもない雨の午後の話でした。








とはいえ。
雨に降られて花見もできなかった週末。
それだと、ちょっと物足りなかったので
翌朝、近所の公園で雨上がりの写真を撮ってから出勤しました^^